第6回地域連携交流会のご報告「地域で考えるACP~身寄りのない方への意思決定支援~」
この度、地域の医療・福祉の専門職の方々をお招きし、地域連携交流会を8月23日(土)に開催いたしました。
この交流会は、地域の関係機関との連携強化を目的に開催しているものです。
今回のテーマは、「地域で考えるACP:~身寄りのない方への意思決定支援~」でした。
ACP(アドバンス・ケア・プランニング:人生会議)とは、「もしものとき」、病気などでご自分の気持ちを伝えられなくなった時に備えて、ご自身が望む医療やケアについて、前もって考え、家族や医療・ケアチームと話し合い、共有しておくプロセスのことです。
人生の最終段階や、病気が進行した際に「どう生きたいか」「どこで過ごしたいか」などをご自身で決めておくことは、最期までその人らしく、尊厳をもって過ごすために非常に大切です。
特に、身寄りのない方やご家族との関係が難しい方々の意思を尊重し、安心して治療を受け、最期まで尊厳をもって過ごせるよう支援する方法について、深く話し合いました。
まず当院の医療ソーシャルワーカー(MSW)より、実際に身寄りのない患者さんの退院支援から最期までを支援した難しい事例を発表しました。事例を通して、患者さんが「自宅へ帰りたい」という強い希望と、病状や生活環境から「施設へ入るのが望ましい」という客観的な状況との間で、本人の意思が何度も揺れ動いた過程を共有しました。
その後、事例発表の内容を踏まえ参加者がグループに分かれて、ACPの実践と課題解決に向け以下の3つのテーマについてグループワークを行いました。
- 退院先で迷っている患者さんへのアプローチ方法
- 身寄りがない方の死亡退院時の関係機関との連携
- 各医療機関での困りごと・課題など
今回の交流会を通じて、身寄りのない方への支援は、病院、介護、行政、福祉、法律など、地域全体の機関が密に連携し、複雑な問題一つひとつに丁寧に対応しなければならないことを痛感いたしました。
今後も、地域との連携を深めながら、一つひとつより良い支援のあり方を一緒に模索していきます。