脱腸(ヘルニア)外来
当院では、脱腸(ヘルニア)外来を行っております。下記の症状・状態がありましたら、お気軽に担当外科医師にご相談ください。
脱腸(ヘルニア)外来にて診察いたします。
脱腸=ヘルニアとは?
立ったとき、あるいは重いものを持った時にふとももや足の付け根に違和感や痛みを感じることはありませんか?
筋肉などの組織が加齢により弱くなったり、重いものを持つ仕事や畑仕事、便秘や前立腺肥大症でお腹に力をいれることが多いと圧力によりお腹の中の臓器の一部が皮膚の下に飛び出してきます。そのため足の付け根に柔らかい腫れができますが、普段は寝たり押したりすると腫れは引っ込みます。
鼠径(そけい)ヘルニア・臍(へそ)ヘルニアなどあり、以前から「脱腸」とも呼ばれていて子供の病気と考えられていますが、成人にも多く見られる病気です。足の付け根あたりを鼠径部と呼び、そこの部分にできたものを鼠径ヘルニアといいます。放置すると陰嚢部まで膨らむことがあります。男女比は約85%:15%です。できる場所によって呼び方が変わってきます。
鼠径部ヘルニアの種類
外鼠径ヘルニア、内鼠径ヘルニア、大腿ヘルニアがあり男性では外鼠径ヘルニアが最も多く、次に多いのが内鼠径ヘルニアで大腿ヘルニアは稀です。女性では外鼠径ヘルニアが最も多く、次いで多いのが大腿ヘルニアで内鼠径ヘルニアでは少数です。
鼠径部ヘルニアの原因
鼠径部は生まれる前に睾丸や子宮を引っ張る「すじ」が通過するため一度筋肉(筋膜)に穴が開いています。この穴の部分が生まれつき閉じてないとヘルニアになります。(生まれつきの原因によるもの=先天性)また、筋肉が様々な原因で弱くなったり、おなかの圧力(腹圧)が上がって筋肉がおなかを支えきれなくなるとヘルニアを起こします。(生活習慣や加齢によるもの=後天性)両方の原因が絡み合って起こる場合もあります。おなかに力を入れる機会や立っていることが多い人(肉体労働、声楽家、吹奏楽の演奏、便秘の人、前立せん肥大症の人、咳が多い人など)、肥満、妊娠なども誘発されます。
鼠径部ヘルニアの症状とは?
鼠径部にできた膨らみが大きくなったり小さくなったりするのが典型的な症状です。おなかに力を入れたときは飛び出し、力を抜いた時や手で押し戻すとわからなくなってしまいます。1日のうちでは立って活動を行った後の夕方は大きくなり、静かに横になっていた後や朝起きたときには膨らみが小さくわかりにくくなります。嵌頓(かんとん)といって飛び出した内臓が戻らなくなり、血の流れが悪くなると最悪の場合は内臓が腐ってしまいます。この場合はかなり強い痛みを伴い、おなか全体が痛くなったりすることもあります。緊急に治療をしなければ命にかかわる危険性があります。
脱腸(ヘルニア)の診断
主に腹臥位でCT検査を行います。場合によってはエコー検査も行い、診断を行います。
脱腸(ヘルニア)に対する当院の治療方法について
手術以外に治療法はなく、痛みや違和感があれば積極的に治療したほうが良い病気です。
当院では腹腔鏡カメラを用いて小さなキズ(3か所)で行う低侵襲手術、または前方到達法(従来のヘルニア手術) 鼠径部に 4~5cmの切開をおいて前方からメッシュ(体に害が無いとされているポリプロピレン素材)をあてる方法を行っております。
入院期間や術後の治療
当科では手術の前日に入院して頂き、おおむね術後3日目に退院可能です。もう少し早めたい場合はご相談ください。退院後は術後7日目から10日目頃の間に一度外来を受診していただき創部の観察を行います。腹壁瘢痕ヘルニア(腹腔鏡下で鉗子を入れる筒=ポート挿入部創からの脱腸)予防のために、術後3週間ぐらいは激しい運動や重たいものを持ったりなど、長時間腹圧がかかることは控えるように心掛けてください。